第9章 ライバル、梟谷学園
「はい、ナギが初対面で抵抗なく接せられるのは、うちのやっくんより身長が低い人のみです。覚えといてねー。」
ニヤニヤしながら黒尾がそう言って衛輔の頭に手を乗せる。
「黒尾、てめえ!ふざけてないでとっととアップしやがれええええ!!」
当然ブチ切れた衛輔に回し蹴りを食らって、黒尾は逃げるようにその場を去った。
「ほら、凪沙、木兎にあいさつしたか?」
衛輔に促されて、凪沙はようやく木兎に向かった。
「音駒2年、マネージャーの夜久凪沙です。よろしくおねがいします。」
「おー、よろしくな。あれ、夜久?ってことは妹?」
「そうそう。俺たち兄妹なの。血はつながってないけどね。」
さらっと衛輔が説明すると、木兎もへー、とさほど気にしていない様子で相槌を打つ。
(ああ、なんだ案外さらっと説明しちゃうんだ……。)
凪沙は拍子抜けした。
(でも、このくらいの方が気が楽でいいかも。)
すっと胸の中が軽くなった気がして、凪沙は試合の準備に取り掛かった。