第9章 ライバル、梟谷学園
1年生も凪沙も部活に慣れてきた4月の終わりに、新メンバーで初めての練習試合が組まれた。
「梟谷、だっけ。どんなところ?」
早朝、電車に揺られながら凪沙は隣に立つ衛輔に聞いた。
「全国レベルだし、特に3年のスパイカーで強い奴がいる。チームとしてももちろん強いし。」
「へー。練習試合って初めてだから、緊張するな……。」
「お前が試合するわけじゃないんだからな。」
「そうだけど……。」
うーん、と眉間にしわを寄せている凪沙。
「あ、向こうの選手にガン飛ばしたりすんなよ。
お前、初対面の男に敵意剥き出しのときあるから。
愛想ふりまけとは言わないけどさ、せめて普通にしてて。」
「……分かってる。なるべく音駒のみんなと一緒にいるようにするし。」
「まあ、みんな良い奴だから大丈夫だよ。」
「うん。」
衛輔が笑顔でぽんっと凪沙の頭を叩いてやると、
凪沙は少しリラックスした表情になった。