第4章 雪の日のこと(後編)
「外さむかったね。お茶入れようかな。衛輔も飲む?」
「おう。」
キッチンに立って、電気ケトルでお湯を沸かす。
紅茶を入れたマグカップを二つ持って衛輔の元へ行くと、
彼はソファーでうとうととし始めていた。
凪沙は音をたてないようにそっとカップを置き、毛布を持ってくる。
ふわりとそれを掛けてやると、衛輔が目を覚ました。
「あ、起きちゃった?」
うー、と声を出して伸びをする衛輔。
「ベッド行く?ママのなら空いてるし。」
「んー……大丈夫。あ、それもらっていい?」
衛輔はマグカップを指差して言う。
二人で並んで座って、紅茶を飲む。
静かだ。
(なんか、気まずい……?)
凪沙がそう思っていたら
「少しずつで良いからさ、考えてみてくれよ。再婚。」
衛輔がぼそりと言った。
「……。」
「すぐじゃなくていいからさ。」
「……今度、衛輔の家行ってみたい。」
凪沙のその言葉に、衛輔は笑顔になる。
「おう。いつでも来いよ。ていうか、明日ひま?
俺夕方には部活終るからさ、そしたらうちに来いよ。
明日もおばさんいないんだろ。だったら泊まって行ってもいいし。」
さきほど彼女が、一人で家ですごす時間について寂しそうに話していたことを思い出して
衛輔は提案する。
「……おじさんは?いないの?」
「え?いると思うけど。別にいいじゃん。
遊びに来たって言ったら親父も喜ぶと思うぞ。」
「そうかなあ。」