第13章 ずっと一緒
外ではイベントが始まったらしく、その明かりでチカチカと顔が照らされる。
賑やかなBGMが流れてくる。
「そうなの?」
「そうなの」
「どうして?」
「どうしても。」
答になっていない返事を繰り返す衛輔。
凪沙は、ふーん……と相槌を打つ。
「ねえ、衛輔と一緒にいてもいい?」
その大きく澄んだ瞳に見つめられて、衛輔の隠していた本音がざわざわと動き出す。
(言ってしまおうか。)
一度大きく息を吐く。
それから彼は、彼女の真剣な表情をかわすように明るく笑う。
「当たり前だろ。けが人置いていけないってさっきも言っただろうが。」
くしゃりと彼女の髪を撫でると、彼女は一瞬悲しそうな顔を見せて、しかしすぐに笑顔を作る。
「うん。」
頷く彼女。
(ああ、やっぱりだめだ……。)
衛輔は彼女の髪を触っていた手を、彼女の細い腰に回す。
「凪沙。」
名前を呼んで、彼女の肩に額をのせる。
抱きしめるとは決して言えない、遠慮だらけの優しい抱擁。
「ずっと、俺のそばにいて。」
掠れた声で、やっとのことで衛輔はそう告げた。
腕が小さく震えているのが伝わってきて、凪沙はそっと彼の背中に腕を回す。
「うん。ずっと一緒にいるよ。」
校庭で上がる歓声をやけに遠くに聞きながら、凪沙は静かに目を閉じた。
『ギフト』Fin.