第13章 ずっと一緒
音駒高校の学園祭には、とある恒例イベントがある。
「ミス&ミスター音駒?」
凪沙はパックのジュースを飲みながら首をかしげる。
休み時間、クラスの女友達との会話。
「そう。クラスから一人、女子か男子どっちでもいいからエントリーする決まりでね。後夜祭でミス音駒とミスター音駒が決定するってわけ。」
結構盛り上がるんだよねー。と嬉々とするクラスメイトの話を、凪沙は聞き流していた。
「今年はうちのクラスは凪沙ちゃんで決まりだねってみんな言ってるよ。」
思いもよらない言葉に、凪沙は目を丸くする。
「え、なにそれ……。あ、ねえ、新井君がいるじゃん。生徒会だしイケメンだしモテモテだし。」
そう言って教卓の周りで楽しそうにしている男子の輪の中心にいるクラスメイトを見遣る。
「残念でした、新井君は去年出ちゃったから。一度出た人はNGなの。」
むりむり、と何とか断ろうとする凪沙だったが、
「お願い!うちのクラス、去年から体育祭、合唱祭、球技大会ぜんっぜん勝ててなくて、このイベントにかけてるの!
凪沙ちゃんなら絶対優勝できるから。この通り、おねがーい!」
と、拝み倒されて勢いに負けてとうとう承諾してしまった。