第11章 再会
腕を組んで話を言いていた黒尾が、口を開く。
「さっき、なーちゃん俺んちに飯食いにきたのね。
その時に俺の父親に対する態度が明らかに不審でさ、怯えてるっていうか警戒してるっていうか。
もしかして、なーちゃんが男嫌いなのってさ、女子校育ちだからじゃなくて、彼女の父親が原因だったりするわけ?」
黒尾の言葉に、衛輔は驚いた顔をする。
「……まじかよ。あいつ、そんなにあからさまだった?」
「少なくとも俺と研磨は、これは何かあるなって思ったな。」
孤爪も黙って頷いた。
まじかー、ともう一度声を漏らす衛輔。それから
「そうだよ。黒尾の言うとおりだ。そこまで見当ついてるなら、もう想像のとおりだと思うよ。」
握っていた手紙を床に放った。
「で、これどうするべきかな……。」
「捨てとけばいいんじゃね?
今その人がどんだけ反省してるか分からないけど、なーちゃんにあんな怯えた顔させる原因を作った男のこと、俺は許せないね。」
黒尾は当然だろ、と不機嫌そうに言った。
「俺が夜久さんでも同じようにしたと思うし、その手紙もナギには渡さない。」
孤爪もはっきりとそう述べた。
「……だよな。うん。ありがとう二人とも。」
衛輔は手紙をぐしゃりと握りつぶしてゴミ箱に放った。