第11章 再会
「あら、じゃあ凪沙ちゃんは夜久くんの妹なの?」
「はい。」
黒尾の母親は、よくしゃべった。
初めて会う凪沙に興味深々のようで、つぎつぎと質問を浴びせる。
「母さん、そんなに話しかけたらゆっくり食べれないだろう。」
黒尾の父が言葉を発すると、凪沙はびくりと肩に力が入る。
「なーちゃん、どうかした?」
その様子に黒尾が気づいて声をかける。
「な、なんでもないです……。黒尾さんちのごはんおいしいですね。食べ過ぎちゃいそう。」
笑顔を作って凪沙は箸を動かした。
「そう言ってもらえて嬉しいわー。いっぱい食べてね。」
にこにこと笑いながら、今度は孤爪の方を向く黒尾の母。
(う。嫌な予感……)
孤爪は無意識に身構える。
「研磨君、かわいい彼女ができて良かったわねー。いつから付き合ってるの?」
テーブルの下で隣に座る黒尾の足を蹴ると、黒尾がわかったよ、と目で答える。
「母さん、この後研磨んちにみんなで集まって部活の打ち合わせするんだ。そのまま泊まるから。」
話題をすり替えると
「あらそうなの。じゃあ夜食におにぎり作ってあげるから持っていきなさい。夜久くんと海くんでしょ。
他にも来るの?」
「いや、その二人だけかな……。」
黒尾はごまかすためにごはんをほおばって口をふさいだ。