第10章 宮城遠征
結果は全戦全勝。
確かな手ごたえをつかんで、帰路に着いた。
新幹線でウトウトとしていた黒尾は、隣で眠る孤爪の重さで目を開いた。
(こいつ……俺のこと枕だと思ってんな。)
完全にもたれかかってきている金色の頭を見下ろす。
いつもは騒がしい山本や犬岡の声もしないので、恐らくみんな眠っているのだろう。
(さすがに疲れたよなあ。)
ふと、後ろの席に目を向けると、
「おやおや?」
衛輔の肩にぴったりと頬を押し付けてスヤスヤと眠る凪沙と
そんな彼女の頭に寄り添う衛輔の寝顔があった。
「なんだかんだで、仲良しだねえ。」
二人がケンカをしていたことを知っていた黒尾は、寄り添って眠る二人にほっこりする。
(夜久は多分、なーちゃんのこと好きだよなあ。なーちゃんの方はまだ分からないけど、今回の合宿で脈ありと見た。
がんばれ、やっくん。)
それから、通路を挟んで反対側で眠る犬岡を見遣る。
(三角関係か……。青春だねぇ。)
黒尾はニヤリと笑って、目を閉じた。
東京まではまだ時間がある。ゆっくり眠っていけばいい。