第7章 【第六章】黒子の過去
「…それで、誠凜には?逃げてきただけ?」
リコはまだ信用仕切れない顔で黒子を見つめる。
「僕だけの力では、あの人には勝てません。だから…一緒に戦ってくれる人を探していたんです。」
火神は黒子を見て、口を開いた。
「…で、俺に声を掛けたのか。」
黒子を見ると、黒子は小さく頷いた。
「はい。…半端な力では、帝光大国の城へは辿り着けません。きっと、各領主たちが行く手を阻むはずだから。」
「ちょっと待って。何でその領主たちが行く手を阻むのよ。黒子クンがいれば、事情を話して一気に攻め込めるんじゃ………あ……駄目だわ、だって……。」
リコは話ながら、事情が見えてくる。
「はい。少しでも手を抜けば、あの人が姫を殺すでしょう。領主たちは、姫の命を守るために、全力で戦ってきます。」
一通り話を聞き終えた火神が、椅子の背もたれに体重を預け、天井を見た。
「その領主、“キセキ”だっけか。そいつらは、つぇーのか?」
「はい。大国で最強と呼ばれた戦士たちです。」
そう聞くと嬉々として、火神は笑った。
「…おもしれぇ、イイぜ黒子。お前に力をかしてやる。」
「ありがとうございます、火神くん。」
その時リコは、思考を巡らせていた。
『彼を信用していいのかしら……これから戦う国、帝光大国にいた少年……もし、本当は誠凜に入り込み、内部から混乱させる気でいるとしたら……』
「姫を救い出したいんです。お願いします。誠凜国の力を貸してください。」
黒子の瞳をじってみて、リコは苦笑した。
黒子の瞳に嘘はない。
「分かったわ。一緒に戦いましょう。」
そう言って立ち上がり、黒子に手を伸ばした。
「黒子クンは帝光大国のお姫様を救うため。私達は、誠凜国を守るために。」
リコの言葉に横で火神が、
「俺はキセキを倒すためだぁー」
とガミガミ言うのだった。
~~~~~~その頃~~~~~~~
「この国に黒子っちがいるんスかね…」
黄色い髪の毛が太陽の光を浴び、黄瀬涼太は目を細めて、下船した。
海常領主:黄瀬涼太、誠凜国到着。