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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第7章 【第六章】黒子の過去


黒子と火神は、リコと日向に案内され、誠凜国騎士団寮棟に入った。
日向は途中で別れ、三人で廊下を歩く。

リコの隊長室に通されると、机と応接セット、シンプルな部屋だった。
黒子達はイスに座ると、リコも自分の椅子に腰かけた。



「黒子クン。教えて」


黒子を真っ正面に見据え、話を促した。


「僕は、帝光大国、王家直属近衛隊の“影”でした。」

「“影”?」

「はい、忍というのでしょうか。スパイ・暗殺・護衛。国王に望まれるまま、なんでもする機関です。」


黒子は昔の自分を思い出すように、両手を組んで話しはじめた。


「僕は幼い頃貧乏で、お城で雇ってもらえたらと、自分なりに武術の鍛練をしていました。でもある時…」



=黒子・幼少期=


『お前はいつまでたっても、傭兵になんかなれねぇよ。』

『何だよ、その腕。そんな細腕で、剣なんか扱えんのか?』

『止めろ、止めろ。向いてないだよ。』


自分より大きい村の青年に小突かれながら、それでも自分なりの訓練をして、初めて受けた入隊試験。

僕は選ばれませんでした。
掠りもしなかった。

悔しくて悔しくて。
僕は拳を握りしめて、帰り支度をしていました。

そんなとき、洛山の赤司征十郎、赤司くんと出逢ったんです。
彼は僕に“面白い”と言って、彼の領地に連れていってくれました。

そして、そこで僕は特訓に明け暮れました。
僕にしか出来ない戦い方を身につける為。
僕の戦い方を。

そして半年後、僕は王都に戻り、国家直属近衛隊に入隊出来ました。

入隊して暫く後、戦争が起こる度に、各領主と共に戦火を駆け抜けました。
命を掛けて、互いの背中を守ってきた領主たちとは、絆みたいなものまで感じています。
そして、僕は赤司くんに出逢っていなかったら、ここにはいなかった。
僕は感謝しても、しきれません。

そして、入隊してからずっと守ってきた姫がいました。



『美桜姫…』


「帝光大国、第一王女:美桜姫です。」




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