• テキストサイズ

~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第4章 【第三章】捕らえられた夜


黒子は紙を拾い上げ紙を広げると、赤司が書いた手紙だった。


《黒子

この手紙を読んでいるということは、今その城は、父に占領されてしまったということだろう。
もしかしたら、美桜も捕らえられてしまったか。


助けてやりたいが、俺たちは、美桜の命を楯に身動きが取れないでいる。
黒子だけしか美桜を助け出せない。

黒子はすぐに美桜を父から救い出し、国外へ逃げろ。

この作戦が無事に遂行されたら、桃井を伝令役に使うんだ。


俺たちは領地に帰還し次第、すぐ開戦の準備を始める。
桃井の伝令を聞き次第、一気に王都に攻め込む。

黒子、頼んだぞ。



赤司、緑間、黄瀬、紫原、青峰》



手紙の最後には、皆の署名が入っていた。

黒子は手紙をたたみ、隠し部屋を飛び出した。

その瞳に一筋の光を宿して…




『テツくん、無事でいて…』


桃井は、城内の隠し部屋でじっとしていた。


『せめて…領主の仲間が居てくれたら…』


静まり返る部屋の中で、桃井は自分の無力さに打ちのめされていた。


『…大ちゃん…』


同郷で幼馴染みの名前を呼ぶと、数時間前の会話を思い出した。




『おい、さつき。』

『もう、何よ、大ちゃん!』


玉座の間であったことを青峰から聞き出し、怒り心頭で怒っていたら、途中で止められてしまった。


『お前、ここ残れ。』

『え…?…ここ?…どうして?』

『…美桜を1人に出来ねぇだろ。テツがいっけど、あいつ1人じゃ守りきれねぇだろうし…』

『どういうこと?』


突然のことに戸惑っていると、



『…………頼んだぜ…』


青峰は、窓際に体を預けて動かない。
その後ろ姿は、威圧的なものでないのに、有無を言わせないもので…


『分かった。』


桃井は、その言葉しか紡げなかった。



/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp