第4章 視力検査*花巻貴大
華楓の家に2人きりで残され、華楓はやや怒っていた。そんなのお構いなしに隣で問題を読み続ける花巻。
「なるほどね…で、どこがわかんないんだ?」
普通アイス買いに行くのに全員行く必要ないでしょ!何考えてんだあのバカ…
華楓は大人数で行ったら迷惑だということで怒っていた。華楓は2人きりという点については何も思っていない。
「華楓?」
「へっ!?あ、えっとね…問4」
「問4は長文読解だから読んでいけば答えは問題文にあるはずだよ?」
「えー…」
じっと問題文と睨めっこするものの、そう簡単に解けず華楓は投げやりになった。
「あーもーわっかんないわ!!」
普段はあまりかけていない眼鏡を外して華楓は目頭を抑えながらため息をついた。
「…華楓って目悪いの?」
「え?うん…そこそこね」
いきなり声をかけられて少し驚いた華楓だったが、平常心のままこたえる。
「仕事の時とかはコンタクトだけど、普段は眼鏡だからいつもあんまり見えないんだよね。まぁ普段って言っても外出する時は眼鏡しないしつけてるの勉強とか作業する時くらいなんだけどさ。まぁお陰様で遠くから声かけられても誰かわかんなくて大変よ」
苦笑しながら言った華楓。それを聞いて花巻はへぇーと相槌を打った。
「遠くからじゃ見えないんならさ…」
「うん…って、えっ?」
花巻は眼鏡を外した華楓の顎に手を伸ばし、華楓の顔を自分の方に向けて極限まで顔を寄せた。
「これならちゃんと見える?」
「えっ!?あっえっと…」
見える見えないに関わらず目の前に花巻の顔があることに華楓は戸惑いで返事をすることが出来なかった。
「じゃあもうちょっと近づける?」
そう言うと額と額をくっつけた花巻。
「…どう?」
「え…っ見えるよ流石に!こんなに近いんだから」
我に返った華楓はくっつけた額を話した。
「私のこと遊んでるでしょ…」
少し怒り気味の華楓。
「うん。でも華楓滅多にこんなことないからちょっと楽しかったでしょ…?」
「楽しいって…まぁ少しびっくりはしたけど…」