第4章 視力検査*花巻貴大
『誰かテスト勉強教えてください!』
「だってよ」
青葉城西高校のバレー部の部室。そこにいる及川に電話をしてきたのは従妹である華楓。
『だってよ、じゃなくて…ほんとに助けて1教科でもいいから!』
華楓が何か助けを求めるのは珍しくスピーカーフォンのため会話が聞こえている部員は動揺を隠せない。
色々困ったことがあっても変に助けを求めない華楓がましてや及川に電話までするのは極めて珍しい。
「いや華楓勉強出来るだろ、及川よりは」
華楓の発言に驚きながらも会話を続ける松川。
「そーそー及川よりは出来るって」
「クズよりヤバそうになったら教えてやるよ」
松川に続けて話す花巻と岩泉。そして流石に黙ってはいられない及川。
「言っとくけど及川さん普通にテストの点いいからね!平均点はいってるからね!」
『ごめんその話今関係ない』
「華楓酷いよ!」
本当に深刻そうにいう華楓は部員皆に助けを求める。
『ねぇ金田一~くにみん~2人でもいいからさぁ』
「え、俺?!」
「…出来る教科そんなにない」
『嘘でしょ!まじお願い~』
半泣き状態の華楓にどうしていいかわからなくなっていた部員の中、及川はひらめいたように
「あ、いいこと思いついた!」
「『…へ?』」
「流石にみんな1教科ぐらい出来るものあるでしょ?それで1教科につき担当1人で全教科集めて教科ごとに1人を指名する。みたいなのはどう?」
「なるほど。分担して教えるってことか」
及川の案に真っ先に理解した花巻。
「じゃあ華楓んとこみんなで押しかけるんだな」
花巻に続き松川も理解して盛り上がっている。
『…じゃあ誰がうちに来ますか?色々準備しなきゃなんで』
「え、全員行けんじゃないの?」
予想外の華楓の一言に少し驚いた花巻。
『全部の教科できないわけじゃないし、そもそもみんななんか家に収まりませんよ?』