第13章 私の願い 二人の想い *番外編*
「……どうして出られたの?」
私の質問に、ギャリーは少しの沈黙後答えた。
ギャリーの話をまとめると、半年前にあの美術館が改装工事を終えてオープンし、その日にイヴはギャリーに会いに行った。そして絵を境にお互いの手を重ねると、ギャリーはこちらに出られた。だが、どうして出られたのか理由は分からない。
それから半年間イヴとギャリーは文通をし、ギャリーの生活が落ち着いた頃合いを見計らい、今日久し振りに会ったのだ――と言うことだった。
そこで私は、二人にお父さんが話してくれた『あの美術館から出る方法』を語った。私の話が終わるまで、二人は黙って聞いていた。
「……つまり、アタシとイヴの思いが一致したから外に出られた、ってこと?」
ギャリーの問いに私は静かにうなずき、そして深く頭を下げた。
「ごめんなさい……」
「いきなりどうしたのよ、メアリー?」
「だって私が外に出るために、ギャリーをあの世界に閉じ込めたんだよ? 痛い思いも、いっぱいさせちゃったし……謝っても償いきれないけど……ごめんなさい」
私はもう一度頭を下げる。するとギャリーは私の頭に手を置き、優しく撫でた。その仕草でふと、お父さんの姿が頭によぎった。ギャリーの手はお父さんと違い、暖かかった。
「もういいのよ。こうやってまた三人で会えたんだから」
「でも……!!」
「んー。そうね……どうしても償いたいって言うなら、この後イヴとカフェでマカロン食べに行くんだけど、メアリーも一緒に行ってお茶する。それで許してあげるわ」
そう言って、ギャリーはまた笑った。
本当に、人間って不思議だな……。もしかしたら、私はこんな人間達が見たくて外に出たのかも知れない。
「……分かった。ありがとう、ギャリー」
私はギャリーに負けないくらいの笑顔で笑った。
晴れ渡る青の空の下、私達は笑い合いながら公園を出た。
これから始まる三人でのお茶会に、胸踊らせながら。