第10章 後悔
「…………ウソ、でしょ……?」
美術館にたどり着いた私は、門の前で立ち尽くしていた。
その門には鈍く光る鍵と、黒の門に似合わない白い紙が貼ってあった。
紙にはこんな事が書いてあった。
『現在この美術館は、建物の改装及び修理のために閉館しております。皆様には多大なるご迷惑をおかけしますが、何卒、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。 館長』
その下には、工事の日程と工事修了予定の日付が書かれてあった。それは今から四年後のものだった。
知らず知らずのうちに涙があふれてくる。一度出てしまうともう抑えが効かなくなり、私は門の柵を握りしめながら泣いた。
私はこの両手からこぼれそうなほどの思い出をもらった。楽しいものばかりではなかったけれど、とても大切なものだ。
なのに、何も恩返しが出来ていない。最後の最期まで迷惑ばかりかけてしまった。
あなたは優しいから、きっと気にするなって言うだろうけど……。
ねぇ、神様。もし居るなら、私の願いを叶えて下さい。
たった一度で良い。
他には何も望まない。
だからもう一度だけ……。
「……会いたいよ…………ギャリー……」