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 『さよなら』の先に  【Ib】

第5章  黄色い薔薇


「そう言えば……アタシとイヴが薔薇を持っていたって事は、メアリーにも薔薇があるの?」

 メアリーと出会った廊下の少し先、ギャリーは思い出したように話し掛けた。

「うん! 黄色い薔薇だよ!」
「そう。大切な物だから、無くしたり、誰かに取られたりしないよう気を――」
「わ~! イヴの薔薇は赤なんだね! 私、黄色も好きだけど赤も好きなの。後、青も!」
「……聞いてない……全く、人の話はきちんと聞きなさいよ!」


 メアリーが加わってから、より一層にぎやかになった。
 やっぱり人数は多い方が良いなぁ、なんて思っていると、目の前に二つのドアが現れた。


「どっちのドアを開けたら良いのかな?」
「う~んと……右!!」

 メアリーが元気に宣言して、右のドアに手を伸ばす。

「あっ、ちょっと!! いきなり開けたら危な――」

 ギャリーが忠告するが、時すでに遅し。メアリーの手がドアノブを掴み、そして、

 ――ガチャ

「あれ?」

 メアリーは何度かドアノブを回すが、ガチャガチャと音をたてるだけで一向に開く気配がない。

「なぁんだ、開いてないや。つまんないの~。じゃ、次は左!」
「……はぁ。変なヤツに会ってないのに、もう疲れたわ……」



 左のドアを開けると、そこはウサギの置物がたくさんある部屋だった。

「わ~! カワイイ!!」

 メアリーが大きなウサギの絵の前に駆け寄って言った。

「えっ!? こんなヤツのどこがカワイイのよ! キモチワルイじゃない!」
「カワイイよ!! ねぇ、イヴ?」
「うん。なでなでしたいくらいカワイイ」
「ほら! イヴだってこう言ってるし、キモチワルイなんて……ギャリーって変!!」
「変なのはアンタ達よ! もう……さっさと鍵を探してこの部屋からでましょ!」
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