第10章 緑の部屋【R18に出来ました】
「あれ?聞いてないの?」
緑は驚いた顔で武田を見た。
「それならこれから俺の家においでよ。ゆっくり話してあげる。」
「えっ、いや、それはちょっと…」
さすがにこの人の家に行くのはまずいと思った。
目の前にいる緑は優しい笑顔を見せているが何かが武田を止める。
“この人について行ってはいけない” とー・・・
「さすがに図々しいと思うのでやめときますっ;
ありがとうございました。」
武田はお礼を言って早々に立ち去る。
・・・ーー つもりだった。
「まぁまぁ遠慮しないで。
こんなにたくさんの荷物持ってる女の子をほうっておけるわけないでしょ。
ほら、タクシー乗って。」
緑は立ち去ろうとした武田の荷物をひょいっと持ち、タクシーへ乗り込んだ。
ここまで善意を尽くしてくれているのに断るのも良心が痛む。
それに荷物を人質に取られては着いて行くしかない。
うーん…。
少しだけ、少しだけ話をしたらすぐ帰ろう。
武田は自分に言い聞かせ、渋々タクシーへと乗り込んだ。