第1章 ようこそ月城荘へ
「それなら俺、女の子の手料理が食べたいなー。」
雪村が口元に手を当てながら突拍子もないことを言ってきた。
「ほら、今日まっつんも仕事休みだしさ。
みんなでご飯食べようってなってたじゃん?
どうせなら女の子の手料理が食べたいよ。
…だめ?」
捨てられた子犬みたいな顔で訴えかける雪村。
ずるい。
その顔はずるい。
でも引越しも手伝ってもらったしそのぐらいのお礼ならなんてことない。
「いやっそんなので良ければ全然いいよ?!
それに私ちょっと料理には自信あるんだよねっ」
「本当に?ありがとぉー。」
そう言って雪村は両手で手を握ってくる。
かわいい…
「あー…でもなぁ… 」
松岡が口を開いた。
「実はもう1人一緒に飯食う約束しててさ…
そいつもここに住んでんだけど…」
元々この2人ともう1人の3人でご飯を食べる予定だったらしい。
「それならその人も誘ってあげればいいじゃない☆
1人増えるくらいなんてことないよ!」
武田は笑顔で松岡に提案した。
「いいのか?!それなら俺も女の子の手料理のほうがいいしご馳走になろうかな。
頼むな!れっち!」
松岡もうれしそうだ。
「じゃぁ、また俺らは夜に来るねー。」
「うんっありがとっ!」
そう言って2人は帰って言った。
夜にはみんなでご飯だし、さっさと荷解きしてご飯の準備しなくっちゃ。
不安と期待でいっぱいだった一人暮らしもなんだかんだ順調だ。
これは幸先が良いのかな。
これから楽しい毎日になりますよーにっ!
さぁ!早く終わらせて今日の夜は楽しむぞー!