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【ハイキュー】大王様の奴隷〜命令H〜【R18】

第11章 朝の二人


落ち着くためか一度ペットボトルの水を飲み込んで、腕で口元を拭う影山。


ギッとこちらを見つめる目が怖い。


……落ち着くどころか、怖さ増してるんだけど……。


「及川さんに会ったのか」


「え……」


何でここでその人の名前が……。間髪入れずに続けて影山が言う。


「それとも…岩泉さんかよ」


「……」


「風呂もあの人とか?」


上手く誤魔化せなかった……。咄嗟にでてきた岩泉先輩の名前に、態度を繕う暇もなかった。


黙り込んだ私を影山は肯定と捉えたみたいだった。


「別に、違う……」


それでも私は無駄だとしても否定を続ける。


「なんで嘘つくんだ?」


「嘘ついてない」


「ついてるだろ」


「ついてないよ。本人が言ってるんだから信じてよ」


「お前の目はそう言ってねえ」


「……!」


見透かされてるような真っ直ぐな目で見つめられる。


怖いと感じた影山の鋭い視線は、よく見れば真剣な意思を感じさせる真っ当なものだった。


お前の考えはそうじゃないだろ。……そう言って語りかけてくるんだ。


「お前の顔すげー辛そうに見える。岩泉さんに何か言われたのか?」


「……違う」


「じゃあ別れたのか?」


「……ッ、違う。……だから、何も無いし泣いてないって言ってるでしょ?」


温泉でのやり取りが頭の中にフラッシュバックする。


何も言われてなんかいない。岩泉先輩に非があったわけじゃない。


もう聞かないで。


「お前、俺がお前のこと好きだって忘れたわけじゃないよな」


「っ、……こんな時になに言って…」


至極真剣な顔のまま影山が言った。


わかってはいたのに改めて面と向かって言われると戸惑ってしまう。


影山と体の距離はあるはず。……それなのに、すぐそこにいるみたいな迫力があって。


低くて落ち着いた声なのに酷く耳に響いた。


「好きなヤツが彼氏と何かあって傷ついてんだ。今俺がお前を放っとくわけがないだろ」


「……!」


「泣いたかなんてこの際関係ねえ。そんな顔見せといて、何も無いとかそんな嘘通用すると思ったのか?好きな相手のことなのにか?」


影山の偽りない言葉が、本当にこの人は私を好きなんだとわからせてくる。


こんな私なのに、こんなに真っ直ぐな人が私のことを好きだって。
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