第69章 眠る
そして渋谷の耳に聞こえたのだ
最後の声が
ミヨ「・・・・・本当に
ありがとうございます・・・
好きでした・・・」
その声を聞き
渋谷はミヨの首から牙をそっと離した
ミヨは力なく倒れそうになったが
渋谷は静かに抱きしめた
自分のした胸の痛みに耐えるように
ミヨを抱きしめ続けたのだった
落ちつくとミヨの死に顔を見た
ミヨは嬉しそうに微笑んでいた
その顔に救われている自分がいた
渋谷はため息をつくと
ミヨを抱き上げて監禁室を出たのだ
まだ収まらない
自分の胸の痛みを必死で耐えながら
ミヨが傍にいたい人と
静かに眠らせてやりたいと思ったのだ
ミヨを抱きながら廊下を歩いていると
前から丸山がやって来た
丸山を見ると
渋谷と同じようにミナを抱きながら
来ていたのだ
その姿を見て
渋谷は微笑んでみせた
丸山「二人を一緒にしてあげたくってね」
その言葉に渋谷は眠っているミヨを見ながら
渋谷「そうやな・・・
最後まで一緒にいたいやろうしな」
そう言うと二人で歩きだした
かなしそうな表情の渋谷に
丸山は気遣うように
丸山「庭の花咲く所がいいよね
この二人ならさ・・・」
そう嬉しそうに言ったのだ
その言葉を聞いて渋谷は
渋谷「そうやな・・・
雛の女の近くにするか?」
その言葉に丸山は笑いながら
丸山「同じ所にしたら
村上君が怒らない?」
その言葉を聞くと
渋谷「バレへんかったら大丈夫やろ?」
そう笑って言ったのだ
丸山も笑いながら
丸山「じゃ、バレないように
しなきゃね」
そう男たちは笑いながら話し
二人をゆっくり眠れる場所へと
歩いている男に
抱かれている二人の顔は
幸せそうに微笑んでいたのだった