第69章 眠る
渋谷はミヨを見つめて訊ねた
渋谷「なぁ、お前はどう終わりたい?」
その言葉でミヨは渋谷を静かに見つめた
渋谷はミヨの気持ちを知っていた
だから自分に出来る事をしたいと
考えていた
この悲しい女の最後の終わり方を
誰かの犠牲でなく
女の願いで終わらせたかったのだ
渋谷は辛そうにもう一度訪ねた
渋谷「お前はどうやって
死を迎えたいんや?」
その言葉をミヨは聞いて
辛そうな顔をしている渋谷に
微笑んでみせたのだ
ミヨ「愛する人の牙で
最後を迎えたいです・・・」
その言葉に渋谷の胸は
痛みを感じて俯いた
ミヨ「ご迷惑ですよね・・・
このまま一人で死を迎えます・・・」
そう寂しそうにミヨは呟き
またマリア様の絵の前で祈りだした
すると渋谷はゆっくりとミヨの傍に寄ると
渋谷「お前が決めたんなら・・・
その願いを叶えたる・・・」
そう言うと瞳を深紅にさせ
牙をミヨに見せた
そんな渋谷の姿を見ると
ミヨは静かに頷いた
ミヨは感謝していた
やっぱり救ってくれるのは
この吸血鬼だったと
自分はずっと影だった
ミナが目立つ後ろで微笑んでいた
ミナの好きなモノは全て譲ってきた
ミナが人を愛していても
自分は愛することは出来なかった
自分の暗い心を
理解してくれる人がいなかったから
あの時
このホテルの抽選を予約したのは
死神が操ったからかもしれない