第58章 遭遇
だから
わざと明るく錦戸は大倉の背中を叩きながら
声を掛けたのだ
錦戸「まぁ、横山くんなら
何か方法を知ってるやろうから
聞いてみようや?」
錦戸の励ましに答えるように
大倉は嬉しそうに微笑みを見せた
その時だった
二人は人の気配を感じたのだ
驚いて目の前に目線を送ると
廊下の奥に雪が静かに立っていたのだ
雪はただ
静かにこちらを見ていた
雪を見て大倉の瞳が潤む
子供と同じように囚われていると
教えられていたので
無事をしれた事が嬉しかったのだ
大倉「雪!」
大倉は雪に急いで駆け寄ろうと足を動かした
その瞬間
錦戸が走りだした腕を強く握り
足を止めたのだ
止められた事に大倉は錦戸を見た
錦戸は黙って首を振って答えた
錦戸「あれは雪ちゃうで・・・・」
大倉はその言葉に困惑した顔をした
そして何度も
雪と錦戸の顔を順番に見直した
言葉に意味を知ろうと
しかし大倉には
廊下の奥に居るのは
愛する雪にしか見えないのだ
しかし錦戸は深紅の瞳を見せながら
手を離さずに手首を強く握り
大倉を雪の側に決して行かさなかったのだ
錦戸は目の前の雪を
向こうの世界で何度も感じていた
そう感じていたのだ
そう黒いフードのゲストと一緒に
しかし向こうの世界の感覚のせいで
ハッキリと感じる事が出来なかったのだ
実は雪の後ろに影のように
張り付いていたのだのに
しかしハッキリと目の前の雪を見て
錦戸は感じ取った
敵の影を・・・・
大倉「亮ちゃん、どう言う事なの?」
寂しそうな表情で錦戸を見る
大倉に錦戸は言った
錦戸「あれは、雪の姿をしてる敵や・・・」
その言葉に大倉は驚き雪の方に視線を戻した
目の前に立っている雪は俯きながら笑ったのだ
その笑い声に錦戸はゾッとした