第49章 喪失【目的】
丸山は一人でロビーに立って
寂しそうに飾ってある
マリア様の絵を見ていた
以前に爆破されたが
同じ物を丸山は探しだし
また同じ場所に飾ったのだった
この絵は丸山には特別だったのだ
この屋敷に来た時に
自分を受け入れてくれた
唯一の存在だったから・・・・
子供を優しそうに微笑みながら
抱いているマリア様を見ながら
大倉の赤ん坊を思っていた
もう少しで自分たちも
この絵のように
子供を微笑みながら見る事が出来たはずなのに
丸山は奪った犯人を許せない反面
その犯人の事情を思うと
悲しくなっている自分がいたのだ
その苦しさを
マリア様に聞いてもらうように
見つめ続けていたのだった
そこに渋谷がロビーの奥の部屋に
帰ろうと戻って来たのだ
渋谷は一人寂しそうに
絵を見ている丸山に声を掛けた
渋谷「マル、どなんしたんや?」
渋谷に声を掛けられて
丸山がゆっくりと振り返った
丸山「あっ、すばるくん・・・」
丸山は笑顔を見せようとしたが
その顔の暗さを渋谷は感じ取り
ゆっくりと歩みを進めると
丸山の横に行ったのだ
渋谷「なぁ、そない心配すんなよ・・・」
渋谷の言葉を聞いて丸山が俯いた
丸山「でも
僕が勝手なことをしたから・・・」
丸山は自分が結界を張ったせいで
子供が奪われたと思っていたのだ
渋谷は丸山の心の内を聞いて
少し鼻を人差し指でこすり
小さく笑うと
渋谷「何をしても
結果は同じやったと
俺は思うで」
そう言うと
丸山と一緒にマリア様の絵を見つめた
丸山はその言葉を聞いても
自分の罪が許されたと
思えなかった
渋谷は絵から目線を逸らさずに
丸山に伝えたのだ
渋谷「これは、俺らの運命やねんて
後は乗り越えるだけや」
その言葉に丸山が反応する
丸山「これが運命って・・・・」
そう言うと苦笑いした
渋谷「結果を悔やむんやったら
今からの事を考えた方がええやろ?」
丸山は渋谷の言葉を胸に受け止めた
そして微笑みながら
丸山「そうだよね・・・・」
渋谷は微笑んだ丸山を見て安心したが
マリア様の絵に目線を向けると考えていた