第47章 喪失 11【略奪】
大倉は自分の部屋の前で愕然と
立ち尽くしていたのだ
後から来た丸山も
隣に立つと声をだす事さえ出来ずにいたのだ
そこに大倉の悲鳴を聞いて
村上・安田・錦戸が走ってやって来た
その三人が目にしたのは
部屋中に飛び散った血だった
村上「なっ!!!!!!!!」
村上も驚いて動けずにいた
その横で部屋を見ていた錦戸は
錦戸「これは、なんや?」
驚くように部屋に入ろうとしたが
まだ丸山が結界を取っていてなかったので
弾かれるように
外に出されたのだ
安田は震えている
大倉の背中を撫でながら
気遣うように聞いてみた
安田「雪は・・・」
震える大倉は静かに首を振った
目の前の出来事を否定したいように
すると丸山が震える声で
丸山「僕のおまじないが
こんな事になるなんて・・・」
愕然としている丸山に錦戸が
錦戸「おまじないって
なんや?」
丸山は震える自分を
必死で抑えながら言った
丸山「もし・・・・
襲われたらと思って
その為に結界を張っていたんだよ」
丸山を気遣うように
村上は丸山の身体を支えながら言った
村上「結界?」
村上に支えられながら
丸山は力なく言った
丸山「敵が入れないように・・・」
その言葉を聞いて安田が
安田「じゃぁ、雪は・・・・」
安田の言葉に
誰もが部屋の中の雪を心配したのだ
その時だった
後ろから横山の声がした
横山「結界の中なら無事やろ?」
そう言って
渋谷と一緒にやって来たのだ
渋谷は眠そうにあくびをしながら
歩いて来ていた
しかし何かを感じるかのように
鼻を押さえたのだ
横山はそんな渋谷を冷たくと見つめると
部屋に目線をやった
渋谷が鼻を押さえながら
渋谷「腐った血の臭いや・・・」
その言葉に横山が考えるように言った
横山「襲いに来た敵の方の血か・・・」
そう言うと丸山を見て頷くと
横山「マル、結界を取ってくれるか?」
そう言う
丸山は横山の言葉に頷き
丸山は静かに目を閉じると
部屋に張っていた重い空気が消えた