第2章 なつやすみ
夏休み某日、クラスメイト5人とプールで遊んだ帰り道
少し日が沈んできたその時間帯に、5人でアイスを食べながら歩いていた
空は水色と夕焼けに染まったピンクの雲で綺麗な模様…
これが俺の、理想の高校生活だ
なんて思いながら。
「あの、静雄くん、」
「…っ!!」
唐突な声かけにビクついて、に笑われた
「どうしたの、疲れてる?」
「ああ、泳いだの久々だったしな…」
「今日すごくはしゃいでたもんね」
そう言いながらまだ可笑しそうに笑う
「笑いすぎだ…」
「ごめんごめん」
「で、どうしたんだよ」
「そう、あのね、お母さんが、今度静雄くん家に連れておいでって」
驚きのあまり、食べていたアイスの棒まで噛んでしまう
前を歩いてたクラスメイト3人が、振り向いてニヤニヤしやがる…
俺はそれに向かって、手でしっしっと払う仕草をした
「あの…嫌じゃねぇんだが…なんで俺なんだ?」
「静雄くんがクラスで一番仲が良い子って言ったら、じゃあ今度連れておいでって言ってたの」
そう言ってアイスをひとかじり。
‘‘クラスで一番仲が良い子”……
は俺が一人だから仕方なく話しかけてくれてるんだと思ってた
一人でいるやつを放っておけるタイプじゃないからさ…
でも仲が良いって、そんなこと思ってくれてたなんて…
「だめかな?」
くりくりの目で見つめてくるが可愛くてしょうがない
食べたアイスをもぐもぐしてるのもまた可愛い……
そんな仕草が俺の心をくすぐる
そして動揺する。
「ごめん、あの、俺さ、夏休みはほとんどバイト入れててちょっと忙しくて…」
「そっか……じゃあまたおいでよ!」
「おう、ごめんな。」
その言葉の後、静雄のアイスの一口はとても大きかった
彼女は思い出す
こうしてみんなで遊びに行こうとなった時、「俺バイトとかしてねぇからいつでも空いてる」と言っていたこと
‘‘嫌われてるのかな”
性格もルックスも悪くないがこれまで誰とも付き合ってこなかったのは、恋愛については極端に鈍感であったからだ。
《照れている》のに《苦手だと思われている》と勘違いしてしまう
だから静雄のような照れ屋が、のような鈍感少女と上手くやっていくのは………
なかなか、難しかった