第3章 寝付く先は
「…にしても軽いな…」
セツナをベッドに下ろし、マジマジと観察する。
「ん…ベ…ポ…」
「は?」
「んー…」
「寝言か…」
寝言で出た名前が自分では無くベポであったことに苛立ちを覚えた。
が、そんな心情とは裏腹に優しくセツナの髪を梳くロー。
「寝顔は歳相応なんだよな」
歳とは不相応な哀しそうな表情を持つセツナ。
「あったかい…」
髪を梳く手に、自然と擦り寄り嬉しそうに微笑むセツナ。
「全く…どこまで俺を惑わせれば気が済むんだ…」
苦笑しつつも、どこか楽しそうなロー。
「やっぱり…お前はイイ女だ」
妖艶な笑みを口元に浮かべながら呟く。
セツナの背にあった息吹は、ローの手によって壁に立てかけられていた。
それも、ローの愛刀鬼哭(キコク)の横に。
2つ並ぶそれは、まるで持ち主を表しているかのような存在感を放つ。
だが、不思議と違和感は無い。
これが、2人の距離を表しているのだろうか。
それが分かるのは、もう少し先の話かもしれない。