第12章 ハジメテ尽くし
トラファルガーと付き合うことになってから迎える、初めての朝。
昨日は結局、恥ずかしくて顔も合わせられなかった。
「おい、セツナ…」
「あ、カ、カイのところ行って来る」
呼び止められても、何かと理由をつけては避けるような行動をとってしまう。
「待て」
グイッ、と腕を引かれた。
「あ…」
振り返った拍子に、バッチリ目が合う。
そして、途端に顔に熱が集まる。
「なぜ俺を避ける」
「べ、別に避けてる訳じゃ…ないよ」
「なら、なんで逃げる」
そんなこと、言える訳ないじゃん。
…どう答えたら納得してくれるのか考えていると。
「まぁ良い、とにかく避けるのだけは止めろ」
「…うん、分かった」
それだけ言うと、トラファルガーは腕を離してくれた。
「カイのことは…お前が面倒見ろよ」
「うん、分かっ…て、名前…」
「…呼んじゃ悪いか?」
と、気まずそうに目を逸らす。
あんなに呼ぼうとしなかったのに…。
カイの人柄かな。