第10章 繋がる想い
部屋へ戻る途中、話の聞こえない少し離れた廊下にいた皆にもう入ってもいいよ、と声をかける。
すると、走って治療室に向かうベポとシャチ。
そして、それを苦笑しつつも着いて行くペンギンさん。
ドキン…ドキン…。
大きく脈打つ心臓は意識の外へ飛ばして、部屋へ入る。
ガチャッ。
「何つっ立ってんだ」
「い、良いじゃない!」
好き、と言うこど意識するとなんだかどうしようもなく恥ずかしくなる。
「何1人でキレてやがる」
と、冷ややかな目にトラファルガー。
「別に、キレてなんかない」
「そうか」
読書に夢中で顔も上げずに会話するトラファルガー。
「あ、あのさ…」
覚悟を決めて、口を開く。
「なんだ」
「その…」
言うと決めた筈なのに、いざ言おうとすると頭が真っ白になる。
口が渇いて、紡ぎ出す声が若干掠れる。
身体中の血液が逆流して、今にも倒れそうだ。
「…選べない」
「あ?」
「どっちも…選べないよ…」