第3章 ◆過去と今
サラのイノセンス、か・・・。
「で、サラは何であんな捻くれてんさ?」
イノセンスの能力だけで
サラが、心を開かない訳がない。
「まあ・・・、それは、
僕も詳しくは知らりませんが・・・」
「・・・?」
何故かアレンは語尾を濁らす。
不思議に思い、俺はまじまじとアレンを見詰めた。
「色々あったみたいですよ。色々、と。
ラビならそんなサラの心をこじ開けられるので
僕たち、期待してるんです。
頑張ってくださいよ、ラビ。
僕もう休みますから、おやすみなさい。」
早口に喋り終えたあと、親指を突き立てて
そそくさと食堂を出て行くアレン。
呆気にとられた俺はそれを見送ることしか出来ず、
「皆して、味気の無いこと言うさー。
はぁー、俺も休むかー。」
俺はあくびを一つ零しながら立ち上がり
自分の部屋へと向かった。
「次の任務は明後日だったな。」
明日はゆっくり、読書でもすっか。
そんな事を呑気に考えながら
のろのろと部屋へ歩く。
ファインダーやら、非番エクソシストやらと
ぽつぽつとすれ違う中、
「・・・絶対に嫌です!」
その声は確かに俺の耳に届いた。
・・・サラ、か?
とある部屋から漏れる声は確実にサラだった。
俺は無意識にその部屋へと足を向けて
ドアの前まで来るとそのまま背中を付けた。
「そんな我侭許してる時じゃないんだよ。
次の任務は明後日だから、それまでに体調万全に戻しといてね。
ラビとアレンと神田とリナリー、それと、サラ。
君達のメンバーで行ってもらう。
そういうことだから、よろしくね。」
室内の会話が筒抜けである。
・・・なんだ、サラと初めて同じ任務さ
サラはなんであんな嫌がってんだ?
ボーッと考えていると
中にいるサラの声が聞こえた。
「それなら、ラビ以外でお願します。」
・・・え、
俺だけハブかよ。