第2章 初デートをキミに*及川 徹
「花香と初デート、凄く楽しみにしてた。いつも明るくて、部活が忙しくても全然文句も言わずに遅くまで俺を待っててくれて…」
ありがとう。
そう言った先輩の目をまっすぐに見て答える。
「私は、徹先輩のバレーをしている姿を見て徹先輩に一目惚れしたから…出会わせてくれたバレーに一生懸命向き合う先輩にも、バレーにも、文句はありません。」
徹先輩が笑ってくれた。
「初デートが何で水族館がいいのか聞いた時に『だって少女漫画の定番ですから!』って自信満々に言われた時はどうしようかと思ったけど……」
「そんな夢見がちな花香も、大好きだからね。」
そういうと、頬を撫でていた手が後頭部に回る。
「花香が夢に見てるような事は、全部俺が叶えてあげる…」
そう言ってしばらくの間、誰もいないフロアで私の唇には再び徹先輩の優しい温もりが降り注いでいた。