第6章 教えてよ。
「あの……痛く、ないですか?」
口を離して渡先輩が聞いてくる。
「渡っちは前回俺の代わりに監視とトス上げしてたから血、吸ってないんだからいっぱい飲ませてもらいなよ」
及川先輩がにっかり笑って云う。
「大丈夫です。痛くないですし、私の方が後輩ですから気を遣わないで下さい」
云って歯型のついた手を再び差し出せばかっぷり噛まれて吸われる。
やっぱりもぞもぞぞわぞわする。
でも大分平静を保てるようになった、かな?
岩泉先輩は何かあれ以来、よそよそしい。
…だけど、時たま頭を撫でてくれたりする。
松川先輩と花巻先輩は相変わらずで吸うたびに過剰なセクハラをしてくる。
一一かろうじてまだ一線はこえていない。
矢巾先輩に吸われるとかなり貧血が辛い。
京谷先輩はあまり吸わない。
…なんか血を吸うのに懐疑的らしい。
国見くんと金田一くんは程々だ。
でも吸い出すとがっつく金田一くんと国見くんは何か…産んだことはないけど、赤ちゃんみたいで可愛い。
及川先輩は自由だ。
吸いたかったら休み時間でも構わず私を探して血を飲んでいる。
まあ、私はこんな非日常に慣れ始めていた。