第1章 丁重にお断りされていただきます。
いきなり1年の教室にやって来て云う3年の先輩に私は飛び上がった。
「丁重にお断りさせていただきます」
私は廃部寸前ながら細々と活動を続ける園芸部に所属している。
小さいながら温室だってあるし花壇もある。
「お願い!兼部で大丈夫だし面倒はかけないから!」
今にも土下座しかねない3年生の態度に1年の教室の並んだ廊下がざわつく。
背中を冷たい汗が流れる。
「だって排球部ってバレーですよね?運動部のマネージャーって色々やることあるんじゃないですか?」
問う私に、先輩はパァっと顔を明るくして私の手を取った。
「大丈夫。部活の後とかにちょっと部室に来てくれたら良いの。雑務は私達がやるから!」
ぎゅうっと汗ばんだ緊張の伝わる手で握られ、何とも云えず断り辛い。