第33章 Friend Date.
ゲームの内容はいたって簡単。
金魚すくいだ。
液晶画面を泳ぐ金魚+αをポイですくう。
操作はレバーとボタン一つと単純だ。
しばし夢中になって金魚を追いかける一一。
「あ、あぁ〜」
ゆっくり金魚が近くに来るのを待ったり待ちきれず追いかけまわしてポイをだめにしたり。
ついにコインは最後の一枚。
国見くんは、と見ればプラケースはいつの間にか隠されている。
「ん?」
国見くんが私の視線に気がつく。
目が合う。
こんな時、ど、どんな顔をしたらいいか分からないよー!
あわてている私に国見くんは笑って足元にあるケースからコインを数枚出す。
「はい」
私の前にそれが置かれる。
「へ、ぇ?」
目を白黒させる私。
国見くんは又視線をゲームにもどす。
「もうちょっといっしょにやってたいから」
ぼそっと、まわりのゲームの音にまぎれてしまいそうな声で国見くんが云う。