第31章 Birthday Date.
電車に乗って海が見えだして。
着いた駅で降りる。
さびれた感じのホームは駅舎も無く線路を渡ればもう海だ。
「偶にさ見たくなるんだよね、海」
堤防を上がり浜へ降りて隅のテトラポットを越えて埠頭へ。
松川先輩は黙って白い波をコンクリに打ち付けている海を見ている。
から、私も黙ってカバンの中にあったお茶を飲む。
埠頭の先に腰掛けて。
黙ったまま。
暫くそうしていた。
日が暮れてきて肌寒い。
マフラーをきつく巻き直していると眼前に手が差し出された。
掴めば引き上げられる。
そして又抱き寄せられた。
温かい…。
じんわりじんわり、肌がくっついてお互いの熱が体を温め合う。