第31章 Birthday Date.
で一一、着いたのは商店街アーケードを上から見下ろせるビルに入った喫茶店だ。
ファミレスというにはちょっぴり古風で茶房だとか云う程カッチリとはしていない。
正に喫茶店。
木製のテーブルにゴブラン織りのクッションが乗った揃いの椅子。
それに腰掛け二人で見るともなしに商店街をゆきかう人波に視線を向ける。
私は家に帰ってからご飯が食べたいからずんだパフェ、松川先輩はチーズがのったハンバーグを頼んではこばれてくるのを待っていた。
会話はあんまり無い。
先輩がチーハン好きなのもさっき知った。
考えてみると私は松川先輩と個人的な話というものをした事がない。
国見くん、金田一くんは偶に一緒にご飯を食べるから色々知っている。
岩泉先輩や及川先輩ともそりゃ彼氏彼女でその幼馴染ですからぁ、…お話はします。
でも花巻先輩とかはあんまり話さない…というか松川先輩に至っては一対一で話した記憶がない。
大体他の先輩の尻馬に乗って何かからかわれたり…。
一一今も偶に歩いている人が面白いとかそんな話をポツリポツリするだけだ。
…不思議と気まずくはない。