第30章 SweetDate.
でも今は違う。
薔薇の花嫁のお仕事一一だけど、でも、違う。
一先輩だから見せようって思った場所。
一先輩はモールに入って行く私にちょっと驚いたみたいだ。
だろうね。
及川先輩はその…トイレ、でもにょもにょをした後グッズショップを見たいという私に付き合ったのにすごくはしゃいでグッズを買っていた。
私にもパンフ買ってくれたし。
私も自分でキャラのフレークシールを買って及川先輩が可愛い可愛い云ってたキャラのをあげたら早速スマホに貼って自慢しまくってた。
一一『やっぱつむぎちゃんが選ぶのはオレでしょ』って。
確かに楽しかったし、及川先輩が嘘つきじゃないんだって分かった。
及川先輩は私にチャームをかけて無理に自分の『子』にする事だって出来たのにしなかったんだ。
私には誠実でいたい、って。
でも違う。
今日は岩泉先輩と。
「映画、か?」
岩泉先輩がエレベーターに乗る私に声を掛けてくる。
「時間あれば見たいですけど。今日来たのは違います」
最上階の映画館にゆく私にやっぱり岩泉先輩は怪訝そうな顔をする。
「ちょっと待ってて下さい」
チケット売り場のお姉さんに私の名前を伝える。
奥から母さんが出てきていつも通り。
制服のブレザーを預けて代わりに母さんのカーディガンを借りる。