第27章 白齣
「木原くんは本当に優しい…」
石和部長が私を見た一一。
赤い、真っ赤な目が私を見る。
夕陽みたいな、一一潰したトマトみたいな紅い眼。
一一次に会った時には、☓☓のモノにするよ?
ふわり、と薔薇の匂いがした気がした。
けれどこんな寒い時期に薔薇はない。
目の前で部長がニコニコ笑いながらどうした?という様に首をかしげている。
気の、せいだ。
疲れているのかな?
「木原くん、疲れているなら又、膝枕してあげようか?」
石和部長の言葉にあの時、とか…その時を思い出して顔が熱くなる。
や、やだ。
私、違うし大丈夫だし!
「本当に木原くんは可愛いな。あまり無理はしちゃいけないよ?」
部長はおまんじゅうを食べ切り云う。
「はいっ!植物のお世話頑張ります!」
私の言葉に部長は苦笑いしている。
「あんまり張り切らずに私にも頼ってくれよ」
一一だって私は君の………………。
石和部長が何か云ったけれどそれはとても小さな声で私の耳に届かなかった。
そしてお茶をひとすすりして飲み切った部長は立ち上がり又ハウス内にある熱帯植物を手入れしに行ってしまう。
その背中を私は見ながら、どこか一一既視感を覚えていた。
一一次に会った時には、…………。
あれはいつの話だったかな?
何の話?
誰の話?
頭がくらくらした一一。
私は何かを…忘れているのかも、一一しれない。