第26章 Amazing Date.
身支度を整えて私達は帰路につく。
並んで歩く。
手を繋いで。
「バンパネラ化って思春期の流行病みたいなもんみたいなんだよね」
及川先輩がぽつりぽつりと話し出す。
「ほっとけば成人する頃にはほぼ普通の人間と変わらない生活が出来るみたい」
バンパネラ一一不老であって不死ではない。
「血を吸って、その力を行使続けると、反対に成人する頃にはただの人間には戻れなくなる…」
そして完全に人としての生殖能力を失う。
代わりに一一、
「愛していると自認した人間の血を吸う際に種を植え付ける。相手もその愛を受け入れる気持ちがあれば種は発芽する」
そうすれば血を吸われた相手も吸血鬼に成る。
血を餌とし、花からエナジィを吸う化物に。
「俺はいつか君に種を植え付けると思う」
それが実を結ぶかは君次第だ一一。
ぎゅっと手を握られる。
「何でそんな話するんですか?」
そんなの、私は拒むに決まってる。
私が好きなのは…………。
「俺はつむぎが好きだから。嘘はつきたくない…」
いつもの自信有り気なバリトンが萎れている。