第21章 限界ボーダーライン
一一「すみません、つむぎいますか?」
ノックも無しに無遠慮に青葉の部室の戸を開けたトビオちゃんは場の冷たい空気にポカンとした。
そして壁際で苦笑いしながら手を振った私に一瞬にして眉を寄せる。
「及川さん、イジメとか良くないです」
うん、慇懃無礼も及川先輩譲りだよね!
「飛雄、何しに来たの?」
凍り付きそうなトーンの及川先輩の声にもトビオちゃんはひるまない。
「つむぎに月バリ借りに来ました」
「ハァ?!そんなん自分で買いなよ……あぁ、飛雄もつむぎちゃんのお手付きだったか……だよね?つむぎ」
ちゃん、無しの及川先輩の声のトーンが又落ちた。
「飛雄、それ無理だよ。だってつむぎちゃんは岩ちゃんの彼女になっちゃったんだからね」
自嘲の声にトビオちゃんは又してもポカン顔になって私を見る。
私は頷く。