第3章 花嫁のお仕事!
東北の短い夏を満喫するように畑でスイカを栽培して各部に販売し冬になればルチィアーノちゃんが枯れないよう土管理に余念のない彼女こそ廃部寸前ながらまだ何とか存続する園芸部の部長だ。
名を石和初音という。
「部長も知ってるんですか?」
一一私が薔薇の花嫁に任命されたコトを。
「ルチィアーノの為にありがとう!」
ぎゅっと両手をにぎられ目眩を覚える。
別に私が血袋になったのはルチィアーノちゃんのためではない。
確かにルチィアーノ、アマリリスは寒波に弱く越冬できずに枯れる事もある植物だ。
部長はやはり一年の時の部長に託されたルチィアーノちゃんの温度管理に心血を注ぎ初雪の朝は必ず一番に登校する人だ。
「いやぁ、うん、君、ほんと尊いよ。いやほんとこの園芸部から吸血鬼の血袋が選ばれるなんてねぇ」
私達が日常的に知らないだけで、吸血鬼というのはそれなりに認可されそれに捧げられる人間は人身御供。
一般人への抑止力として尊ばれるらしい。
吸血鬼は血以外に手塩にかけて育てた花の精を主な餌にする。
その為園芸部は昔から吸血鬼の末裔に支援され廃部を免れてきたらしい。
吸血鬼の食べる花を育てる代わりに。