第13章 個人レッスンは甘い罠?
「松川さん、そのハンカチください」
く、国見くん?!
「は?」
松川先輩も困惑している。
「つむぎちゃんの血がついてるんでください」
諦めないってもしかしてそれかあああ!
「国見、そういうのは人としてダメだ」
金田一くんが云うけど…、
「俺らもう人じゃないじゃん!」
いや、そうなのかもしれないけどさ。
「つむぎちゃんも呆れてるよ…」
及川先輩に云われ、国見くんがこっちを見た。
「つむぎちゃん、ダメ?!」
「恥ずかしいからダメです」
間髪入れずに私は答える。
そんな、…あんな場所から出る血なんか汚いよぅ…。
あ、国見くんがしゅんてなってしまいました。
どうやって慰めたらいいやら…。
「そういえば木原花巻さんにヒュプノかけてもらいたいんだよな…」
金田一くんが話をそらす。
「そうなの?」
ベンチに座らされたままの私の前に今度は花巻先輩が来た。
「はい…私、素直になりたくて…」
私には迷いがある。
それに素直になれない。
だから素直になりたい。