第12章 邪視一イービルアイ一
「どっちが勝ったんですか?」
聞いてみると、金田一くんはイヤそうに眉をひそめた。
「同性に効果が薄い及川さんが負けたんだけど…」
金田一くんが言葉をにごす。
「あれは気持ち悪かった」
国見くんが二つ目のパンの袋を開けながら云う。
どうなったんだぜ?
「花巻さんの『あなたは花巻貴大を好きになる』って暗示にかかった及川さんが…」
うっとつまる金田一くん。
「これ以上聞きたかったら卵焼きちょうだい」
国見くんに云われて卵焼きをハシでつまんで差し出す。
それを見て目を見開く国見くん。
?
「国見ズルい…」
金田一くんが云う。
「アーンとか…男子にはやらない方がイイよ」
国見くんが赤くなりながら卵焼きを食べた。
う、確かに云われたらそうかも。
何か私も恥ずかしい!
「及川先輩がどうしたんです?」
私も話をそらす。
「花巻さんに全力で襲いかかる及川さんを部員全員で押さえつけたけど振り飛ばされそうになって、この人と本気でケンカしたくないって思った」
ため息をつく国見くん。