第13章 【電脳少女、偵察に行く その3】

美沙が走り去ってからの事である。

「良かったねー、工。ガールフレンド出来て。」

天童がニヤニヤしながら五色に言った。

「は、えっ、天童さんっ俺別にそんな。それにもっぺん会うかどうかも怪しいしっ。」
「はいはい、何気に楽しそうに喋ってたから説得力ないよん。ね、若利君。」
「俺に振るな。」
「というかあの子誰だ、思い切り関西弁だったけど。」

大平が尋ねる。

「烏野の、」
「次期主将の義理の妹だっつう」
「ままコちゃん。」

牛島が言いかけ、五色が微妙な補足をし、天童がおどける。大平はため息をついた。

「他校の女子ね、はいはい。若利これで2回目でしょ、いい加減にしなさいよ。」
「知り合いで見られて困る相手ではなかったのでな、つい。」
「若利からついなんて聞くのが驚きだよ。」

大平はため息をつき、天童は何か言いたそうに牛島を見ている。

「何だ。」
「ままコちゃんについて聞きたい事がどっちゃりあるけど後でねん。」
「好きにしろ。」

走り去った美沙は近くに隠れていた日向、影山と合流した。

「美沙っ、無事かっ。ウシワカに捕まったのかっ。」
「ウシワカさんどころか他の人らにも見つかってもた。3人くらい。」
「ヒエーッ。」
「何か掴めたか。」
「ごめん、それどころやないままに駄弁ってもたからろくに。せやけどウシワカさんと同じ3年の人にえらい察しよさそげな人おった、要注意かも。あと1年にウシワカさんと張り合ってるっぽいのおった、あれ口だけちゃうと思う。」
「お、おう。」
「それよりあんたらの事はバレてへんと思うから早(はよ)いこ早。」
「オッケーっ、影山行くぞっ。」
「何でてめーが仕切んだ日向ボゲェッ。」
「ええから早うっ。」

3人は行きと同じくバタバタと白鳥沢の敷地から出て行ったのであった。

次章に続く