第34章 【その後の対外報告】
「結局美沙さんも縁下君も嫌だって言って向こうもあっさり引き下がったみたいだけどね。」
「それはそれでなーんか妙だな。その親父さんまだ何か企んでんじゃねーのか。」
黒尾は呟くが孤爪はいいんじゃない、と返した。
「とにかく美沙さんは縁下君とこから引き離されなかったんだから。」
「ったく、漫画じゃあるめーしとんだ事件だな。そんで山本うるせー、いつまで泣いてんだ。」
「だって、美沙さんっ、良かったっ、グスッ。」
「うぜぇ。ったくあの地味リボンめ、どこまでも人んとこかき回しやがって。」
「だからクロ、あの子いつもリボンじゃない。翔陽の話じゃ最近指輪の時もあるって。」
「ますます問題だわ、烏野6番の頭はどーなってんだ。」
「くっそー、俺美沙にメッセ飛ばすっ。」
「リエーフ俺もっ。」
「おし、グループチャット作ったぞ。」
「あ、早速画面が菌類だっ。」
「こらっ、リエーフに犬岡っ、あの子最近部活やってんだろ邪魔すんなっ。」
夜久が灰羽と犬岡を叱りつけて音駒の男子バレー部の部室はしばらくわぁわぁとなる。
「今日も平和だな。」
そんな野郎共の様子を見つめながら海が呟いた。
次はこちらである。
「へぇ、そんなことが。」
夜、梟谷学園高校の赤葦京治が1人自室でスマホに向かって呟いている。
「随分とまたドラマチックな事があったんだな。」
「ああ。」
スマホの受話口は縁下力の声で応える。
「正直びっくりした。美沙さんの周りは長いこと隠してたってことか。」
「うん、俺もびっくりしたよ。まさかうちのマネージャーのお母さんも関わりあったとは思わなかったし。」
「世間て広いようで狭いな。」
「ホントね。」
スマホの向こうで縁下力が苦笑する。