第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
(…ああ…私、泣いてるんだ…。)
生温いものが両目から流れていく感覚。
手を伸ばして触れて、ようやく気が付いた。
ずっと一緒にいた人は、隣を見てももういない。
私はあの人の支えになれたのだろうか。
考えても考えても、答えはノーだ。
一人、虚圏の外を放浪する。
行く宛なんてない。
大きな月を見上げてはため息がこぼれた。
グリムジョーには、自分から近づいたのだ。
思い出せば、随分昔な気がする。
辛くて、悲しくて、苦しかった。
でも、それ以上に、愛していた。
確信はないが、どれだけ粗雑に扱われても、私が彼の元を離れなかったのはそうだったに違いない。
「好きだった…ううん…今も好き…だけど…」
だけど、もう一緒にはいられない。
自分のせいで歪んでいく彼を、もう見ていられない。
だから私は別れを決意した。