第5章 剣の舞*坂田銀時、土方十四郎
「探したぜ…。れん…悪かった…」
申し訳なさそうに謝る彼を、れんは責める気にはならなかった。
催淫剤のせいであんな事になったのだから、個人を責め立てるべきではないと思っていたから。
「少し、話せるか?」
「…うん。」
部屋の中へ入ると、形容し難い恐怖が蘇る。
膝が震え、記憶がよぎる。
そんなれんを見て、彼はゆっくり話し始めた。
「…事件は解決した。組織も壊滅。ただ、れんとのことは、解決してねぇから…本当にすまないことをした。」
「い、いいんです、薬のせいですし…」
「いや、違う…」
「え?」
彼はれんを見据えて、言った。
「ちゃんと気持ちを伝えてねぇのに、薬のせいとはいえ、やっちまったこと、後悔してんだ。」
れんは首を傾げる。
その様子に彼は優しい顔をして、れんの手を取った。
「…ずっと好きだった。」
「へ…?」
「今更何だって話だが、俺とやり直してくれねぇか?」
「わ、私を、好き?」
「お前、気付いてなかったのか?」
「そんな、全然…」
彼はそっとれんの体に手を回し、ギュッと包み込む。
「…でも私、あの後、い…いんら、ん…みたいになって…その…自分でも引いちゃうぐらい…」
「へぇ…そりゃ楽しみだな。」
「は!?何言って、」
「…ぷッ、んなこたァ気にすんな。でも、それが俺のせいだってんなら、責任とらねぇと」
彼となら…気持ちが穏やかになったれんは、彼ともう一度、新しい関係となってやり直してみようと思えた。
「ほらよ」
悪戯っ子のように笑う彼が差し出す手を、れんはそっと握り返した…
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