第15章 セイレーン*リヴァイ
私は、彼に出会えてよかった。
あの彼女が居なければ光すら当たらない存在だけれど、それでもひと時の幸せを味わえた。
もう…それでいい。
私は娼館を抜け出して、町で一番高い塔の上に立つ。
そよ風が吹き抜け、生まれて初めて感じた開放感。
街並みや遠くの景色を眺め、まるで神様にでもなった気分だ。
行き交う人々の波を見つめては、切に願う。
誰もが光を浴びて生きてゆけるようにと…
そして目を閉じ、体を前に倒す。
あの青い空に飛び出せば…
後はただ、翼の折れた鳥のように………
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