第11章 最狂*タクミ・アルディーニ、葉山アキラ
上に乗っていたれんが離れ、葉山がのっそり起き上がる。
「………………」
本物の狂気を前にして、発する言葉は何もなかった。
タクミに突かれているれんに、心の中で静かに語りかける。
…ごめんな…
虚ろな目で葉山を見て、電池切れのロボットのように拙いあいうえおを紡ぐれん。
「ば、い…ばい……」
「…ああ。バイバイ」
魂の消えた笑顔で葉山に別れを告げ、れんは小さく二回程手を振った。
「礼を言うよ…葉山。これでれんは俺だけのモノになった。」
「……そうだな。」
部屋から去るライバルの背中を見送って、タクミはほくそ笑んだ。
れんに気があることは前から分かってた…葉山は強敵だから、れんを奪われないかずっと心配で交渉を持ちかけた…満足させてやるからその後は絶対に近付くな…と。
それがれんにバレないよう、嘘をついてさっきの状況を作り上げたのだ。
「これから、安心して君と過ごせるよ…。」
蜜壺を埋め尽くす肉棒に恍惚として微笑み、れんがタクミを見上げる。
「ァ、…タクミ…好き…」
「俺もだ…れん…」
欲情した唇を啄んで、タクミが大きなストロークで奥を叩く。
パンパン…と肌がぶつかり、淫靡な空気が部屋を満たす。
数分前までは重苦しかった情事が、いつの間にか愛を確かめ合う行為へ変化していた。
「ん、出すよ…」
「っ…、あぁ…」
激しく脈打ちながられんの最奥に熱を注ぎ、搾り取る動きをする柔壁に全てを委ねた。
「れん、愛してる…もっと楽しもう…?」
まだ終わらないよ…これからだ…
そう言わんばかりの復活力を見せ、れんを強く抱く。
萎える事を知らない幹をギリギリまで引き抜いて、一気に挿し込む。
嬉しそうに嬌声を響かせ始めたれんに、そっと額へキスを送った。
君となら…最高に狂った愛を描けるよ……
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