第10章 傷*ラクサス・ドレアー
「れん…!」
もう目覚めないと思っていたれんの瞼が持ち上がる。
れんは数回瞬きをした後、俺の顔を見て安心したように目を細めた。
「オレのことがわかるか?」
俺の言葉にゆっくりと、微かに頷く。
その時、ごちゃ混ぜになった形容し難い感情が胸に込み上げた。
れんが生きていてくれて良かった…
敵と対峙したあの時、れんなら大丈夫だと後を任せたことを何度も後悔した。
「…そうか、本当に良かった…。」
だが今は、れんの瞳に俺が映っているのが何よりもの喜びで、震える声を絞り出すように言葉を発した。