第8章 わたしたち*緑谷出久、飯田天哉
悪気は無かった。
ただ、真っ直ぐで優しいヒーローを頑張るあなたにかまって欲しくて、寂しくて…。
「うぅ…デク君…グスンッ…」
「陽月さん…」
優しい緑谷はれんを放っておけなかった。
直接会ってれんの話を聞き、慰めている内にできた胸の黒い塊。
満たせ…満たせ…と耳元で囁く声が聴こえる。
塊の正体を知りたい。
れんの泣き顔に煽られて手を出したあの日から、緑谷は答えを探し続けた。
最初こそ罪悪感に押し潰されそうだったれんも、今では緑谷に女の悦びを呼び起こされ、空っぽの身体を潤すように抱かれた。
ーーーー高校時代から共に過ごし、未来まで約束した人を裏切って
しかし、回数を重ねてお互いの体を知り尽くした頃には、すっかり謝罪の気持ちは消え失せた。